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連載 職人ミュージシャン辞典
− 第1回 −

リー・スクラー(リーランド・スクラー)

 リー・スクラー(リーランド・スクラー)は、1970年代に活躍したベーシストで、実に2000曲以上のレコーディングに参加している。オーソドックスで職人気質ながら、メロディアスなラインは多くのアーティストに好まれていて、ジェームス・テイラー、ジャクソン・ブラウン、ホール&オーツ、キャロル・キングなど参加アーティストは幅広い。アコースティックなサウンドをクリエイトするアーティストが多いわりには、太目のブリブリとした音色で弾いていながらも、楽曲に見事にマッチしていて、歌をサポートしている。またビリー・コブハムや自らのバンド、セクションなどクロスオーヴァー系のアルバムでの細かなプレイも見逃せない。

検証アルバム
■ ジェイムス・テイラー『マッド・スライド・スリム』
マッド・スライド・スリム
 ジェイムス・テイラーのアーティストとしての地位を確固たるものとした名盤。バッキングは前作『スウィート・ベイビー・ジェイムス』同様リー・スクラー、ダニー・コーチマー、ラス・カンケルのセクション勢にキャロル・キングが加わっている。ブルース。カントリーなどルーツ・ミュージックをベースにソウル的な味付けも加えられたグッド・タイム・ミュージック。

■ ジャクソン・ブラウン『ジャクソン・ブラウン・ファースト』
ジャクソン・ブラウン・ファースト
 シンプルながら、彼独特の痛みを感じる歌詞と、朴訥なメロディが凝縮された名盤。リー・スクラー、ラス・カンケル、クレイグ・ダーギのセクション勢がバッキングを担当、ジェイムス・テイラーの『スウィート・ベイビー・ジェイムス』や『マッド・スライド・スリム』にも似たような質感のサウンドになっている。

■ セクション『セクション』
セクション
 ダニー・コーチマー、ラス・カンケル、クレイグ・ダーギといったジェイムス・テイラーやジャクソン・ブラウンのバックを請け負った手馴れたメンバーと結成した、彼の資質が出たクロスオーヴァー・グループ。全部で3枚リリースしているうちのファースト。普段以上に動くラインを聴くことが出来る。

■ 五輪真弓『本当のことを言えば』
本当のことを言えば
 1974年に渋谷ジャンジャンでライブ・レコーディングされた五輪真弓の2枚目のライブ盤。リー・スクラー、クレイグ・ダーギ、ラリー・カールトンらの手馴れたバッキングも聴き所だが、「本当のことを言えば」「落日のテーマ」「酒酔草」など、このアルバムでしか聴くことができない彼女のみずみずしいオリジナルも良い。

バニー・レドン

 イーグルスのオリジナル・メンバーとしられるバニー・レドンは、ヴォーカル、ギターに加えて、ペダル・スティール、ラップ・スティール、ストリング・ベンダー、バンジョー、マンドリンなど弦楽器マスターとして活動している。レドンの知名度が一般に知られるようになったのは1969年夏にフライング・ブリトー・ブラザーズに加わってからだが、その前に短期ながらニッティ・グリッティ・ダート・バンドにも加わっている。ブリトーズの後リンダ・ロンシュダットのバックを経てイーグルスへオリジナル・メンバーとして参加。当初は作詞作曲、ヴォーカルに、中心メンバーとして活躍していたが、グループのロック化とともに脱退した。その後はカントリー界にもどり、クリス・ヒルマンやニッティ・グリッティ・ダート・バンドなどと活動、昨年には27年ぶりにソロ・アルバム『Mirror』をリリースした。ちなみにプロデュースはイーザン・ジョーンズで、イーグルスをプロデュースしたグリン・ジョーンズの息子。

検証アルバム
■ フライング・ブリトー・ブラザーズ『ブリトー・デラックス』
ブリトー・デラックス
 フライング・ブリトー・ブラザーズのセカンド・アルバム。レドン初参加の本作は、前作のデビュー・アルバム『黄金の城』で、ジョン・コーネルとクリス・エスリッジが脱退、クリス・ヒルマンがギターからベースに転向し、マイク・クラークが新たに参加したニュー・ラインナップでの作品。ロック色が増し、カントリー色は若干減ったが、レドンはヴォーカル、ギターと大活躍している。

■ イーグルス『イーグルス・ファースト』
イーグルス・ファースト
 バニーほか、グレン・フライ、ランディー・マイズナー、ドン・ヘイリーにより結成されたオリジナル・イーグルスのファースト・アルバム。4人全員がリード・ヴォーカルをとれるため、コーラス・ワークを巧く活かしたカントリー・ロックでそれまでのカントリー・ロック・バンドとは違ったモダンさを持っていた。エレクトリック・ギター以外にもバンジョーやストリング・ベンダーなど、レドンの多彩なプレイを聴くことができる。

■ バーニー・レドン&マイケル・ジョージアディス『Natural Progressions』
Natural Progressions
 イーグルスの『呪われた夜』製作中に「サーフィンに行く」といったまま脱退後、マイケル・ジョージアディスとの双頭アルバム。アコースティックでカントリーというよりは、ちょっとソフトなポップス・アルバムといったサウンド。メロディアスな曲が並んでいて、中でもバニー作曲のナンバーには、はずれはない隠れた名盤。

■ エヴァー・コール・レイディ『Ever Call Ready』
Ever Call Ready
 元バーズのクリス・ヒルマン、元フライング・ブリトー・ブラザーズのアル・パーキンス、元サザン・パシフィックのジェリー・シェフ、元アルファ・バンドのデヴィド・マンスフィールドと結成したブルーグラス・グループ。企画もののアルバムながら、バニーはギター以外にもヴォーカル、バンジョーも披露、センスの良い選曲とアレンジで楽しめるアルバムになっている。